一重金属汚染と「汚染者負担の原則」
*
1.農用地土壌汚染防止法と公害防止事業費事業者負担法 *
2.二法による土壌汚染対策事業 *
3.神通川流域の土壌汚染対策事業 *
4.金属鉱業等鉱害対策特別措置法と金属鉱業事業団 *
むすび *
1.有機塩素化合物等による汚染 *
2.六価クロムによる地質汚染 *
3.地質汚染浄化の意義 *
4.国レベルの浄化への取り組み *
5.地方自治体の取り組みa:汚染機構解明の技術的・財政的援助--千葉方式 *
6.地方自治体の取り組みb:日本型スーパーファンド--秦野市の条例 *
7.土地所有者の浄化責任問題 *
むすび *
当時国会の農林水産委員会の審議では、農用地の土壌汚染が「人間の健康」と「食糧の米」にかかわるという理由が強調された。そこで問題となるのは、カドミウム以外の重金属や農用地以外の土壌汚染問題である。前者の銅、亜鉛、ヒ素等については、順次追加していく方向で決着がはかられ、そこでも、もっぱら直接の「人間の健康」とのかかわりで問題が議論され、生態系全体の保全という視点は提起されることはなかった。六価クロム汚染等の農用地以外の土壌汚染問題は、附帯決議でふれられるにとどまった。
つぎに大きな焦点となる費用負担問題では、同じ第64回国会の公害防止事業費事業者負担法の審議においても、全体として、「農民に負担をかけない」という点が強調され、汚染者支払い以外の部分は公費負担という方向で決着がはかられていった。「汚染者負担の原則」については、それまで通産・厚生両省で3年もかけて調整されたけれども決着がつかず、公害対策本部(のちの環境庁)ができ、ようやくまとめられたという経緯がある(4)。
もともと厚生省の中間報告(5)によれば、堆積した汚染物質を処理する事業のうち、農地等の土壌浄化事業では、私的部門の負担割合の最低を全体費用の4分の3としていた。ところが成立した公害防止事業費事業者負担法では、まず第4条第1項で、「事業者の負担総額」について、「事業者の事業活動が、その原因となると認められる程度に応じた額」とされ、さらに第2項で、@「その公害防止の機能以外の機能」、A「当該公害防止事業に係る公害の程度」、B「当該公害防止事業に係る公害の原因となる物質が蓄積された期間等の事情」を減額理由にあげ、第7条で、「この規定を適用して減ずべき額を算定することが困難である」ときは、概定割合(概算率)として、2分の1から4分の3を、第4条第1項に乗じた額が基準にできるとした(表8-2参照)。
このように、二重、三重に汚染者の支払いと負担を減額する規定がつくられ、概定割合の最高が4分の3とされるようになったのである。また、この負担金を納付したときには一時に必要経費または損金に算入することが認められた。以上の減額規定は、国会の審議でも問題となったが(6)、最終的には農民に負担をかけないことが強調されて、法案のこの部分は原案のまま通過したのである。
公害防止事業費事業者負担法についての、公害対策本部による解説は、同法第4条第1項の「当該公害防止事業に係る公害についてその原因となると認められる程度」に関連して、「たとえばグリーンベルトの設置や農用地の客土事業などの場合は他原因関係に属するものがほとんどないと考えられるので、それ程の困難はないと考えられる」(8)とのべ、重金属による土壌汚染は、もともと自然状態においても重金属の汚染がみられるという「自然汚染」説については否定的な見解をとっている。ところが、そのあと出版されたさきの環境庁水質保全局・農林省農政局共編『土壌汚染防止法の解説』(9)は、「費用を負担させる全事業者の事業活動が当該公害の原因となると認められる程度に応じた額(つまり、自然汚染などの他原因関係を除いたもの)」とのべ、「自然汚染」説に道を開く解説を行っている。この「自然汚染」分の減額という要望は、鉱業界から当時すでに出されており(10)、1974年7月の鉱業審議会答申「金属鉱業等に係る蓄積公害対策のあり方について」が言及している。
全体として見ると、第64回国会で成立した農用地土壌汚染防止法と公害防止事業費事業者負担法は、農用地の土壌復元を汚染者の支払いと負担によって行う具体的な方法を定めた点で画期的であり、世界的に見ても蓄積汚染の汚染者支払いと負担による浄化を規定する最も進んだものであった。しかしながら、この2法による土壌復元はさきに見たように、対象が農用地に限定されており、「汚染者負担の原則」も十分に貫けない方向に道を開いた。「農民に負担をかけない」という一致点から出て来るのは、部分的には国と地方公共団体による負担の肩代わり、事実上の補助金による蓄積汚染の浄化への道であった。
表8-1 公害防止事業費事業者負担法の適用状況(1997年3月末現在)
(単位百万円)
(出所)環境庁企画調整課
事業者負担割合44.5%となっている。同時期の公害防止事業費事業者負担法による浚渫事業の32件、事業者負担割合69.6%とくらべると、事業者負担割合の低くなっていることが特徴的である。
これを歴史的に見ると、初期の土壌汚染対策事業の事業者負担割合は比較的高く、75%が多かった(表8-2参照、事例1−6、1972-1975年)。ところが、1975年の秋田県鷹巣地域及び新城・床舞地域農用地土壌汚染対策事業(1975年12月9日公表)と1976年の兵庫県生野鉱山周辺地域の農用地土壌汚染対策事業(1976年12月17日公表)以来、事業者負担割合は下がり、前者では44.3%と32.9%、後者では59.5%となった。とくに後者では第1次事業の75%から59.5%に下げられ、「自然的なカドミウムの負荷については、全面否定できず」と、いわゆる「自然汚染」説が打ち出された。
このあと、1980年2月に公表された神通川流域農用地土壌汚染対策事業(第1次)では、事業者負担率は35.13%、残りは国と県の負担となった。いうまでもなく神通川流域は三井金属神岡鉱業所によるカドミウム汚染地で、1500ヘクタールが対策地域として指定され、その面積は全国の対策地域6260ヘクタール(1995年末)の約4分の1にのぼる。よく知られるように、イタイイタイ病裁判第二審の原告全面勝訴をうけ、被害住民と三井金属との本社交渉で、2つの誓約書と1つの協定書が結ばれた(1972年8月)。その1つの「土壌汚染問題に関する誓約書」で、三井金属は「農用地復元対策事業が行れた場合、A原因者として事業費総額を負担する、B右事業にともなう区画整理など被害農民の損害となる部分についてその費用を負担する、C右事業にともなう減収などの損害を負担する」と誓約していたのである。
全国的にも、農用地土壌汚染防止法により農用地の土壌汚染の復元事業が取り組まれることになったが(図8-1参照)、1976年の自民党の試算によれば、5000ヘクタールの農地を復元するためにかかる費用は500億円を越えると見られた。1973年以降のオイル・ショック不況・円高にあって、金属鉱業資本は増大する鉱害対策費用に大きな負担を感じ、この負担軽減への取り組みを1974年初に開始した。
日本鉱業協会は1974年から毎年の「鉱業政策の強化確立に関する要望」のなかで、1、「イタイイタイ病の原因に関する厚生省見解」の再検討、2、カドミウムに係る生体影響研究の一層の促進をかかげ、さらに、カドミウム含有米に係る二重規制の撤廃(0.4ppm-1.0ppmの米を流通させること)、重金属に係る農用地土壌汚染対策の再検討、土壌復元の見直し再検討、食品としての米の安全基準は、供食の段階において確保されれば足りる(カドミウム汚染米のブレンド化)を要求し続けている。
ここで、少し詳しく神通川流域の農用地土壌汚染対策事業の事業者負担割合の算定根拠について検討しておこう。なぜなら、ここに提起された論拠が全国の休廃止鉱山の鉱害防止対策の費用負担においても使用されているからである。三井金属の負担割合35.13%を決めた富山県公害対策審議会土壌汚染対策事業費用負担小委員会(1979年11月30日)の報告書によれば、まず第1に、負担法第4条第1項の公害の原因者が負担すべき寄与度として、地域特性分と不存在事業者分(現在では存在しない過去の事業者による汚染寄与分)を差し引いている。地域特性分とは、「上流に鉱床地帯を有するような地域においては、そうでない地域と比べて一般的にカドミウム濃度が高い傾向がみられる」から、それを原因者負担分から差し引くものである。
不存在事業者分として、室町時代後期(1492年)から、水質汚濁防止法施行1971年までの神通川上流の粗鉱生産量を三井金属の分と、不存在事業者の割合について計算し、三井金属以外の割合を20.55%と計上している。さらに、負担法第4条第2項の減額事由を算定することは困難として、負担法第7条第3号の概定割合として3分の2を適用している。
以上の算定方法に対しては、長年この問題を研究されてきた利根川治夫氏(早稲田大学法学部講師)が詳しく批判検討し(11)、休廃止鉱山の鉱害問題全般にかかわる問題を提起しているので、ここでそれを要約・紹介・補足しておきたい。富山県は、三井金属の費用負担割合を算定する方法として、農用地を汚染地(扇状地)と非汚染地(扇状地周辺)にわけ、また非農用地を自然汚染による汚染地(扇状地)と非汚染地(扇状地周辺)にわけて、地域特性率を算定している。これによって、神通川の影響を受けた扇状地非農用地土壌のカドミウムは、周辺非農用地土壌よりも濃度が高い、すなわち「地域特性」があるとするわけである。しかし、富山県のいう扇状地非農用地土壌サンプルには、洪水時の冠水や汚染土の盛土がなされている地点が含まれていることが後程判明している。本間慎東京農工大学教授(当時)の解析によれば、神通川扇状地非農用地土壌の下層土中のカドミウム濃度と、県が調査した同扇状地周辺土壌上層土のそれとの間に統計的有意差は認められなかった。すなわち「地域特性」はないということになる(12)。一般に、鉱化帯から自然流出したカドミウムが下流域の農耕地に沈積し汚染米を生み出しているとすれば、全国に分布する鉱化帯流域で汚染米が生産されることになるが、汚染米は鉱化帯のなかでも人為的作用の加わっている鉱山流域に限定されている。
富山県は、三井金属以外の不存在事業者の割合を20.55%と計算し、その分を減額している。しかし、採鉱・選鉱・製錬の各工程の下流域への環境負荷は異なり、とりわけ低品位の鉱石を細かく砕いて有価金属を回収する浮遊選鉱法採用後の選鉱技術が、微細金属を含んだ排水の下流域への汚染にとって決定的であった(13)。浮遊選鉱法採用までの粗鉱量の、1971年までの累積量に対する比率はわずか2.0%にすぎない。不存在企業の寄与度は無視でき、むしろ無視すべきである。このような批判を受けて、富山県は神通川流域(第2次)土壌汚染対策事業から三井金属の負担割合を若干上げたが、それでも39.39%である。
以上のように、公害防止事業費事業者負担法第4条第1項の「その原因となると認められる程度に応じた」とする規定は、「地域特性・自然汚染」であれ、「不存在事業者」であれ、汚染者の支払いと負担を事実上減額する機能を果たしている。
この間、イタイイタイ病原因論争の「むしかえし」、いわゆる「まきかえし」現象がおき、また富山県が土地利用計画をたて、カドミウム汚染田の大幅な転換計画を打ち出したこと等が、事業の遅れの背景として指摘できる。
1979年度から1984年度に行われた第1次(パイロット)地区は、事業量90ヘクタールと小規模で、事業費約24億円、企業負担率35.13%(約8.8億円)であった。1983年度から1994年度に行われた第2次地区は、当初事業量441ヘクタール、事業費124億円を予定したが、途中で計画の修正・縮小のため、356ヘクタール、約101億円となり、企業負担率は若干上昇し、39.39%(約40億円)となった。
1992年度から着手され、2004年度までを予定している第3次地区は、事業量437ヘクタール、事業費261億円、企業負担率39.39%(約103億円)であるが、農地以外に転用される部分は563ヘクタールにものぼる。第3次地区で転用地が多くなった理由は、農業後継者問題などで、すでに団地や工場用地として売られた土地が多く、また土壌汚染対策事業を行った場合にはその後転用できなくなるので、このさい農業を継続できないところは転用したためである。
イタイイタイ病裁判から20年以上たって見ると、富山県と三井金属は、土壌汚染対策事業を先に引き延ばし、「時の経過」を使い結果的には土壌復元面積の縮小と費用の低減をはかることができたわけである。
つぎに、三井金属による汚染者の支払いと負担の実際について検討してみよう。
1972年8月10日、三井金属と被害者団体は、@「イタイイタイ病の賠償に関する誓約書」、A「土壌汚染問題に関する誓約書」、ならびにB「公害防止協定」を結んだ。@に基づいて支払われた賠償金は累計36億円(1996年価格で89億円、各種の出費が異なる時点で支出されているので、物価上昇率を勘案して1996年価格に換算して比較した)、介護手当14億円(同24億円)、医療費26億円(同32億円)で、あわせて合計75億円(同146億円)となる(表8-3参照)。
Aの土壌汚染対策事業関係は、既に見たように、第1次約9億円(1996年価格で約11億円)、第2次約40億円(同46億円)で、合計49億円(同57億円)となる。第3次は約100億円を予定しているが、将来の支払いとなるので実際にはより低く評価される。この他に、1ppm以上のカドミウム汚染田の作付け停止と減収補償が合計で118億円(1996年価格で141億円)支払われている。この補償金の合計だけでも、これまでに三井金属が土壌汚染対策事業に支払った金額を上回る。
Bの公害防止協定に基づく発生源対策は累計で排水処理83億円(1996年価格で約118億円)、排煙処理32億円(同約50億円)、休廃坑5億円(同8億円)となり、合計120億円(同176億円)である。この他に、立ち入り調査費用として約2億円(同2.2億円)がある(表8-4参照)。
三井金属による以上の出費を単純に合計すると約364億円になり、イタイイタイ病裁判後から今日まで25年間(1972年9月期から1997年3月期まで)の同社経常利益の単純合計550億円に対しては約66%、営業利益の単純合計2457億円に対しては、15%になる。
そこで、以上の汚染者の支払いと負担の評価に移ろう。
@のイタイイタイ病の賠償金額は、もともと不可逆的な人間の健康被害の評価という困難な問題をともなう。イタイイタイ病による病死や健康被害のほかにも、カドミウム腎症の問題があるが、ここでは算定されていない。
Aの土壌汚染対策事業関係は、誓約書で決められた「原因者として事業費総額を負担する」という原則が守られなかった部分である。復元面積が1500ヘクタールから1000ヘクタールに減少し、企業負担率も35-39%となることで、三井金属の負担率は約26-27%台ですんだのである。この他、三井金属は作付け停止と減収補償を行っているが(合計118億円)、2号地米(0.4ppm-1ppmのカドミウム汚染米)は政府が買い上げて処分している。
Bの発生源対策費用については、公害防止対策費用として計上されているもののなかに生産関係投資と見られるものがあり、実際には過大に計上されていると見なければならない。この他、休廃坑関連の投資は金属鉱業等鉱害対策特別措置法(特措法)による融資をうけた工事である。このように計上されている公害防止対策費用は、本来三井金属が支払うべき負担としては割り引いて評価されなければならない。
しかしながら、公害からの原状回復を、2度と被害を再発させないという意味でとらえるならば、この発生源対策こそ、土壌汚染対策事業とならんで、公害の原状回復の2つの柱であるといえよう。
神岡鉱業所の発生源対策は、下流域へのカドミウム流出の自然バックグラウンド・レベル(0.1ppb以下)をめざして、大きな成果を上げており、これは公害防止協定に基づく世界的にも高く評価できる内容である(14)。
以上、三井金属による汚染者支払いと負担出費の実態を見ると、@イタイイタイ病の健康被害補償、A土壌復元,B発生源対策のうち、Aの土壌復元の部分は、復元面積の縮小と負担割合の低減化によって、支払いの軽減が著しい。これは、Bの発生源対策が鉱山の生産合理化に部分的に結び付くのに対して、Aの土壌復元は三井金属にとって全く利益の期待できない支払いであり、農用地土壌汚染防止法と公害防止事業費事業者負担法の適用過程を通じて、この部分をできるだけ縮小し、かつどうしても支払わざるをえない部分は公費への負担転嫁をはかるという対応をとったからだとみられる(15)。
特措法は、鉱山の採掘権者に使用済み(使用中ではない)特定施設の鉱害防止事業についての事業計画を義務づけ、さらに毎年、鉱害防止(賠償ではない)積立金を積み立てさせるものである。この特措法にともない、金属鉱業等鉱害防止準備金制度ができ、準備金は損金扱いで課税されない税制上の措置がとられている。
特措法に対応して、金属鉱物探鉱促進事業団が改組された金属鉱業事業団の事務に、金属鉱業による鉱害の防止のための措置に必要な資金の貸付、債務の保証、鉱害防止積立金の管理、指導が付け加えられた。
特措法による鉱害防止積立金は、現在稼行している鉱山の閉山後の鉱害防止対策のうち、坑道の閉塞、堆積場の覆土、植栽等の発生源対策に対しては対応できると考えられている。また、特措法による使用済み特定施設の鉱害防止事業の基本方針は、第1次(1973-1982年、460億円[77年価格])と、第2次(1983-1992年、200億円[82年価格])にわたって実施されたが完了せず、第3次計画がたてられた。
金属鉱業事業団による鉱害防止資金の貸付では、1975年度から、公害防止事業費事業者負担金の貸付が始められ、さらに1978年度下期から、使用済み特定施設の坑廃水処理事業に必要な資金(ランニングコスト)の貸付も行われるようになった。
ところが、鉱業権が放棄され5年以上経過したものは、鉱山保安法の鉱害防止命令の対象にならず、また5年未満であっても会社解散、破産等により鉱害防止事業が実施義務者の不存在の休廃止鉱山は、1970年代には全国に約6000あるといわれた(16)。
そこで、この鉱害防止義務者が不存在の休廃止鉱山に対して、休廃止鉱山鉱害防止工事補助金制度が1971年度から発足し、地方公共団体の事業主体に対して、国から当初3分の2、1975年度から4分の3の補助が行われ、1974年度から坑廃水処理費も対象となった。これらの鉱害防止工事実績は、1973年から1991年度までで約470億円(当時価格の累計、以下同様)で、国の補助金が約350億円支出されている(対象鉱山177鉱山、うち126鉱山は工事終了)。これに対して、義務者存在の休廃止鉱山は同時期、鉱害防止工事額約170億円、うち金属鉱業事業団の融資が約110億円行われている(対象鉱山255)(17)
1993年から2002年にわたる第3次鉱害防止計画では、坑廃水処理に毎年45億円(約80鉱山、義務者不存在18億円[もと鉱業権者が自主的に鉱害防止活動を行っている5件を含む]、義務者存在27億円)、10年間で450億円、坑道や堆積物の処理工事に10年間で250億円(約110鉱山、義務者不存在約228億円、義務者存在約22億円)の鉱害防止事業を予定している。以上のように、義務者不存在、存在ともに休廃止鉱山の鉱害対策にいかに多くの補助制度があり(図8-2参照)、補助金が使われているかが理解できるであろう。
金属鉱山は閉山後も坑廃水処理をいわば半永久的に継続して行わなければならず、この責任主体と費用負担の問題がおこる。この問題に対して、通産省立地公害局長の私的諮問機関「坑廃水問題懇談会」の報告書(1980年5月)は、鉱山保安法第26条第1項の「鉱害を防止するため必要な設備」を「設備の維持管理」も含むとしたうえで、同項の「その者が鉱業を実施したことにより」という原因主義を根拠として、「自然汚染分及び他者汚染分の処理に要する費用」については、別の主体が費用を負担すべきであるとし、「資源政策的観点から鉱山各社の坑廃水処理費用の負担を軽減する必要」から国の負担とし、他方「坑廃水処理を行うことは地域環境の保全等につながる」ので、地方公共団体の負担も検討すべきだとした。
すなわち、一方で「汚染者負担の原則」にたって、「自然汚染、他者汚染分」は、負担外としたうえで、「資源政策的観点」から国の負担とし、他方で受益者負担の原則を入れて、地方公共団体の負担を意義づけるという立場をとったのである。
この報告をうけて、1981年度から義務者存在の休廃止鉱山の坑廃水処理の自然汚染、他者汚染分については、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度が適用されている(国の補助率4分の3、地方公共団体4分の1)。具体的に「自然汚染率」、「他者汚染率」を算定する算定式は存在するものの、補助率が処理費用の3分の1として計上されているので、その予算額に圧縮するための操作として補助係数が導入されている。このことは、すなわち「自然汚染率」、「他者汚染率」の計算も、国の補助金を要求するための、名目的根拠としての性格が強いことを示している。その後、休廃止鉱山の坑廃水処理問題に抜本的に対処するため、1992年に特措法が改正された。すなわち、鉱害防止事業基金と指定鉱害防止事業機関が設けられ、指定された休廃止鉱山(当初約50鉱山)ごとに鉱業権者が基金を金属鉱業事業団に6年間拠出し、その基金で対策を行う。年間約15億円の坑廃水処理費用を確保するために、基金の運用利率を5%として、約300億円の基金が必要となる。企業にとって、この基金への拠出は損金参入が認められる。拠出完了後の1998年以降は、指定鉱害防止事業機関(資源環境センター)が鉱廃水処理対策を行うことになっている。なお、金属鉱業事業団が基金拠出資金に融資している。
休廃止鉱山の鉱業権者が基金を拠出し、その運用益で将来にわたる鉱廃水処理業務を行うというのは、一応、「汚染者負担の原則」にかなうが、近年の低金利状況で基金運用益の不足問題が生じている。全国で鉱廃水処理を必要とする鉱山は約80あり、この基金と資源環境センターで管理されるのは、そのうち約50程度で、残りは義務者不存在鉱山として、国と地方公共団体の補助金によって対応せざるをえないとみられる(通産省立地環境局鉱山課による)。
補助金という点では、この間つくられた、公害に関連した多くの税制上の措置をみておく必要がある。まず、公害防止準備金制度が1972年から1978年まで存在したが、準備金の限度は設定されているももの、実質的に利益であるものが損金扱いされ、課税されない点に問題があった。例えば、三井金属では、1975年3月期に実に44億円余りが計上され、のちに「目的外」に使用されている。
次に、1967年につくられた公害防止設備特別償却制度は、投下した資本を早期に回収する効果があった。1974年からは特措法に基づく金属鉱業等鉱害防止準備金制度が発足している。この他、公害防止設備の範囲の拡大にともなう固定資産税の軽減措置がある。1971年から「汚水等の処理後のものを工業用水として再利用した場合」も課税されず、これにより大部分の水関係生産設備は非課税となった。さらに1978年からは、休廃止鉱害対策工事費用も損金又は必要経費に参入されるようになった。
こうして、公害防止準備金、金属鉱業等鉱害防止準備金、公害防止設備特別償却、固定資産税の軽減等は、金属鉱業に対する間接的な補助金となり、「隠れた補助金」として作用している。これらは、補助金の使用を制限しているOECDのPPP(汚染者支払いの原理)に抵触する。
重金属蓄積汚染に対する「汚染者負担の原則」の適用という面から見ると、蓄積された重金属を取り除き土壌復元を行う土壌汚染対策では、「汚染者負担の原則」は部分的にしか貫徹されていない。むしろ、「自然汚染」、「他者汚染」等の様々な理由をもって、汚染者の支払いと負担にかわり公費(国や地方公共団体の補助金)負担が行われている。
しかし、神通川流域の土壌汚染対策事業の事例で見たように、「汚染者負担の原則」にしたがった汚染者寄与分を減額するための「自然汚染」説や「他者汚染」説は、必ずしも事実と一致しない。現実に「汚染者負担の原則」が貫かれていないにもかかわらず、「汚染者負担の原則」で、すべてを説明しようとするには無理があり、公費負担で蓄積汚染を除去するのであれば、それなりの説得力をもった原理が必要であるということである(18)。
歴史的に見ると、もともと日本の「汚染者負担の原則」は、OECDのPPPに限定されず、責任追及の法的原則としての性格をあわせもって形成された。したがって、原因と寄与に応じてという「応因原則」と容易に結びついて、例えば公害防止事業者事業費負担法の「原因となると認められる程度に応じた」という規定等が生み出され、時の政府の解釈と運用次第で、汚染者の支払い負担軽減に使われてきたのである。そこで、こうした考えの延長線上で、一方では、汚染者の支払いによる経営への負担をいかに軽減するかという問題がだされ、他方で汚染者の原因とみなされない部分の「蓄積汚染」をいかに浄化するかという課題があった。前者に対する政策としては、税制を含めた種々の補助金制度が作り出され、後者については、「受益者負担の原則」等をもちだして公費負担を合理化する方向が打ち出されたと理解できるのである(補章参照)。
問題は地下水汚染のみにとどまらない。そもそも地下水が汚染されたのは、地層が有害物質によって汚染された結果であり、地下水汚染はまた地下空気の汚染をもたらす。この地下水汚染、地層汚染、地下空気汚染の三者は「地質汚染」と呼ばれる。
地下水汚染は汚染物質または汚染水が地層中の間隙水に溶解または混合して発生する。有機塩素化合物の地質汚染の場合、はじめ地層汚染が発生し、それが汚染源となって地下水汚染を発生させる(19)。一方、地質汚染は陸水の循環過程で表流水汚染に連動し、大気圧変動に伴う地下空気の移流・発散で大気を汚染し、地質環境と汚染物質の地表への滲み出しを伴う「クロスメディアの汚染」(複数の環境媒体にまたがる汚染)を呈する(20)。そこで、本節は、1,我が国の地質汚染の現状と浄化の意義を明らかにし、2,地質汚染に対する浄化の取り組みと問題点を国・自治体ごとに検討し、3,今後の課題を明らかにしたい。
有機塩素系溶剤による地下水汚染で一番多くみられるのは、クリーニング業の洗浄剤テトラクロロエチレンからくる汚染問題である。しかし、この汚染機構を解明して浄化に取り組んでいるところは多くない。クリーニング業に中小企業が多く、資金力に乏しく、また市街で井戸水を使用している所は少ないという理由で多くの地質・地下水汚染は放置されている。
有機塩素系溶剤は、金属・一般機械・精密機械等でも広く使われてきたため、町の鉄工場レベルから大手の工場まで、その管理状態が行き届いていない場合、問題が起きる。新潟県燕市の洋食器洗浄による問題(23)はよく知られており、この他自動車部品工場による汚染[神奈川県小田原市(24)、熊本県錦町(25)、千葉県習志野市(26)、福井県大野市では自動車部品工場の立地をめぐり、その地下水汚染の可能性で裁判になった(27)]、金属加工工場による汚染[千葉市長沼町(28)、神奈川県寒川町(29)、静岡県藤枝市(30)、静岡県富士宮市(31)、京都市(32)、兵庫県三木市(33)]、表面処理工場による汚染[横浜市(34)、長野市(35)、静岡県藤枝市(36)]、電線工場による汚染[静岡県御殿場市(37)、兵庫県伊丹市(38)、茨城県土浦市(39)、山口県田布施町(40)]、レンズ工場による汚染[栃木県鹿沼市(41)、福島市、福島県下(42)]、時計工場による汚染[千葉県君津市(43)]、工作機械工場[千葉県習志野市(44)]、塗装工場[山梨県都留市(45)]等がある。産業分類で汚染源を見た場合、この他、化学産業がある。それも薬品工場[大阪府高槻市(46)、福岡県甘木市(47)]や探傷剤製造工場[千葉県柏市(48)]等を含んでいる。また、一般的な化学品メーカーによる汚染がある[兵庫県姫路市(49)、静岡県富士川町(50)]。通常の産業分類からは外れるけれども、有機塩素系溶剤自体の再生業による汚染も発生している。例えば、千葉県松戸市(51)、神奈川県川崎市(52)、京都市山科区(53)等である。
産業以外の場所からの発生源で一番重要なのは、廃棄物処分場からの汚染であり、長野県大町市では水道水源が汚染されていた(54)。東京都瑞穂町の砂利採掘跡地を利用した産業廃棄物処分場からも地下水汚染が起きており(55)、同じく東京都日の出町でも一般廃棄物の最終処分場からの有機塩素系化合物以外の地下水汚染が問題となっている(56)。また千葉県香取郡多古町では、産業廃棄物中間処分場からの汚染で付近の井戸からトリクロロエチレン等が検出され、周辺住民が操業禁止を求めた(57)。エックス都市研究所の『廃棄物埋立跡地適正管理対策検討調査』(58)によれば、地下水・表流水等の水質汚濁を起こした最終処分地跡地の事例が多数報告されている。すなわち、
@浸出水処理施設の曝気槽が破損し、汚水が漏水した、
A周辺のホタル養育家の井戸水を汚染したため、ホタルが大量死した、
Bごみ処理場近くの水田に、処理場廃水による塩害で被害が発生した、
C埋め立て終了後の管理業務を継続中に、処分場が周辺地下水の汚染源ではとの疑いが生じた、等である。
この他、不法投棄された廃棄物が地下水汚染の原因とみられる例がある[福島県いわき市(59)、千葉県柏市(60)、兵庫県川西市(61)、佐賀県唐津市(62)]。厚生省水道整備課の調査によれば全国で水道基準項目(29項目)に係る水道水源の汚染は、1995年3月現在124件(関東地方56件、中部地方22件、近畿地方20件等、表8-5参照)に及ぶ。
もう1つの重要な産業以外の発生源は、軍事基地による汚染である。軍事基地の汚染は世界各地で起きており、有機塩素系溶剤以外にも重金属、PCB、アスベスト等の問題も存在している。例えば神奈川県相模原市の米軍補給廠は、トリクロロエチレン等の汚染源の1つと推定されている(63)。
東京都の日本化学工業の六価クロム鉱滓による地質汚染は、1977年の東京都公害局「6価クロム鉱さいによる土壌汚染対策報告書」(6頁)によれば、1940年から1973年までにクロム鉱滓発生量は約57万トンで、1977年8月現在の汚染箇所は172か所(墨田区、江東区、江戸川区)であった。現在では調査が進み、338か所以上にのぼる。
専門委員会(鈴木武夫委員長)は、環境影響について、こう結論している。「投棄量の大きさを考慮するとき、もし鉱さい処分地が現状のまま放置されれば労働現場での職業病として得られた経験の教えている健康障害の出現の可能性は否定できないのである。そのためには現在の呼吸器症状などの非特異的症状を有する住民の存在に注目しなければならない。また、遅発的影響、例えば発がんについても、継続的観察が必要である」(372頁)。勧告(提言)として、「鉱さいを含む汚染土壌は出来得る限り完全に閉鎖する必要がある。即ち、溶出水による浸出、河川流入、微粒子の飛散防止は勿論のこと毛細管現象による溶出水の上昇、そして、クロム酸塩の結晶の出現等は絶対に許してはならない。このため、現在の最高水準の施工が必要である」(373頁)とし、対策として「クロム汚染のモニタリング」、「地域住民の健康管理」、「遅発性の影響(発がん)の出現については、長期的細心の観察」、「住民参加の方法の採用」、「3価クロムの毒性についての研究」等をあげていた。
しかし、その後、この提言が十分に実行されているとはいいがたい。1979年、東京都と日本化学工業は「鉱さい土壌の処理等に関する協定書」を結び、「防災再開発事業計画区域及び堀江地区等に埋め立てられている鉱さい部分を掘削除去し、日本化学工業所有の小松川南北工場敷地内に搬入して、同地に埋め立てられている鉱さいと一括処理のうえ、封じ込める」、「残余の汚染土壌については、必要な現地処理を行う」、「東京都は……用地取得等の措置を講ずる」こととなった。これまでに日本化学工業はクロム鉱滓の約80%、48万トンを約70億円かけて処理したが、さらに残り約10万トンの鉱滓の処理に10億円かかるとみられる(65)。小松川工場跡地に鉱滓を封じ込めて、その上に避難場所として造成した公園「風の広場」は1991年に完成したが、1992年には公園から下水や川に基準を大幅に上回る六価クロムが流出したことが確認され、さらに東京都が地下鉄工事のために買収した大島9丁目の日本化学工業グランド跡地でも、同様の事態が起きている。また、東京都は大島9丁目の再開発事業として予定されていた中学校予定地を用途変更して、新しい処分地として着工した。地元住民から建設工事差し止めの訴訟が起こされたが、第1審では、住民側敗訴となった。また、江東区が障害者施設用地として買収した東砂の土地のクロム鉱滓の処分費用を税金で支払ったことは不当とした住民の監査請求が棄却されたため、住民側は東京地裁に提訴した。東京都が小松川工場の他、グランド、社宅、体育館、倉庫、亀戸工場跡地等、日本化学工業の社有地(クロム汚染地)を買収して、防災拠点としていることに対して、「墨東から公害をなくす区民の会」は「企業の私害を行政が税金で尻拭いして企業を庇う」として批判している。こうした事態が起きるのは、未だにいわゆる市街地の土壌汚染を規制浄化する法律が制定されていないためである。
ここで改めて、地質汚染を浄化する意義をまとめれば、次のようになる。
まず第1に、人間の健康問題である。地下水を使用している場合はもちろん、使用していない場合でも、クロスメディアの地質汚染を通じて、地下水汚染は地層汚染・地下空気汚染につながっている。この点では、土壌汚染と地下水汚染を統一してあつかい、土壌の多機能性に注目して、その回復につとめるとしたオランダの土壌保全法が注目される。土壌の多機能性とは、生態系機能(バイオマス、フィルター、生息空間)と人間の使用に関連した機能(物理的媒体、原料の資源、文化的遺産)を双方、含んだものである。
第2に、貴重な水資源としての位置付けである。日本の生活用水の地下水依存率は約30%であり、これを地表水によって確保しようとすれば、さらに膨大な投資が必要になる。昨今の渇水問題が示すように、地表水の開発は地理的条件に制約されて、一朝一夕にはできない。さらに地下水は水質においても、おいしさ、安全性、使いやすさの3点で、最高級の水源である。
第3に、第2にも関連して、地質汚染を浄化することによって、その土地と水資源の価値を高めることができる。これは何よりも次世代への責任であり、貴重な贈り物である。例えば、第6章で見たように、アメリカでは、土地売買のさいに、地質調査が行われて地質汚染の有無が確認されている。これは、土地所有者にも浄化責任があり、汚染が発見されるとその土地資産価値が低下するためなのである。
第4に、地質汚染をおこす有機塩素化合物等は、1,1,1-トリクロロエタンのように、地球温暖化の原因物質とされており、足元から地球環境保全をはかっていくためには、有機塩素化合物の使用をひかえ、すでに汚染されている地質は浄化して、これらの物質をできるだけ回収する必要がある(73)。
また、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」は、第19条の4項(措置命令)で、「生活環境の保全上支障」が生じ、あるいは生ずるおそれがある場合、支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるよう命ずることができるとしているが、これは廃棄物の処分に関連した規定であって、かつまたアメリカのスーパーファンド法とは違い、過去の汚染問題に適用を想定したものではない。
このような状況にあって、1986年に環境庁により国有地に関し「市街地土壌汚染に係る暫定対策指針」が出された。これは9対象物質を定め、対策を要する汚染土壌の判定基準(含有量等基準値)、処理対策選定のための判定基準(溶出量基準値)を定めたものであった。1991年には、有害廃棄物の越境移動を規制したバーセル条約の締結にともない公害対策基本法で要求されていた土壌汚染の環境基準(10物質、のちに25物質、廃棄物埋め立て地に適用なし)がようやく定められた。これにともない、1992年に1986年の暫定対策基準が改定され、「国有地に係る土壌汚染対策指針」(9物質対象)となった。ただし、改定前の暫定対策指針は多くの地方自治体が行っている民間地の土壌汚染対策の指針となってきた。
1994年11月には、土壌と地下水をともに対象とした「土壌・地下水汚染の調査・対策指針」が初めて出された。主なポイントは、
@重金属のほか有機塩素化合物も対象物質とする、
A有機塩素化合物については土壌汚染のほか地下水汚染も対象とする、
B国有地に限定せず、土地一般を対象地域とする、
等である。これにより従来の「国有地に係る土壌汚染対策指針」は廃止された。有機塩素化合物を含み、土壌と地下水汚染の双方を統合し、土地一般を対象としている点で、従来よりも前進しているが、いま問題となっているダイオキシン類は含まれず、法的拘束力はなく、浄化の責任主体と費用負担等の制度的問題については定めていない。
こうしたなかで、ようやく水質汚濁防止法が改正され、1997年4月から有害物質を含む水の地下浸透で人の健康被害が生ずるおそれのある場合、都道府県知事(あるいは政令市長)は過去にさかのぼって汚染原因者に対して水質浄化のための措置をとるよう命じることができるようになったのである。
しかし、飲用に供していない場合の浄化や汚染原因者に調査、報告の義務が定められていない。
技術的援助は、@地下水汚染防止対策研修会の開催、A新規汚染確認時の援助、B汚染機構解明調査、除去対策指導である。このうち、Bが非常に重要であり、汚染現場ごとに、県(水質保全課・水質保全研究所地質環境研究室)、市町村、地質コンサルタント会社からなる調査チームを組織し、調査や除去対策の実施について、調査チームのなかで協議しながら進めている。いわば地質汚染を対象とする医師団である。これらのことが可能となったのは、千葉県が水質保全研究所に地質環境研究室をもち、地質の専門家を備えていたからである。
千葉県はこれと並行して補助金交付要綱を定め、地下水汚染防止対策事業補助と、トリクロロエチレン等に係る健康調査事業補助を行っている。前者の補助種目は、汚染実態確認水質調査事業、汚染機構解明調査事業、汚染除去対策事業で、補助率は財政力指数に応じて20-70%、補助金交付状況は1996年度で約2.05億円(55市町村)である。これを見ると、補助金額はそれほど多額ではないが、20の市町で機構解明と浄化が進んでいる(74)。
詳細調査と浄化事業を行う責任を負う者は、浄化目標値を超える地質の汚染があると市長が認める土地(汚染地)の地質の汚染に関係する者(関係事業者)であり、使用事業場、過去使用事業場の設置者に限らず、対象物質を含む物の収集、運搬、処分等の処理に伴い地質を汚染した者等、個々の汚染地の状況に応じて市長が指定する者である(条例第22条)。ここで「汚染地の所有者又は占有者は、関係事業者又は市長が行う詳細調査又は浄化事業に協力しなければならない」(第35条)とされ、直接の浄化責任を問うていない。
指定を受けた関係事業者は計画を策定し、市長の承認を受けてから浄化事業を行う。そして、市長の監督のもとに浄化事業を行い、詳細調査が終了したときはその結果を報告し、また浄化事業は市長の承認がなければ終了できない(第24条-第33条)。ただ、現実問題としては、汚染地の状況により、汚染した者が不明のとき、関係事業者の所在が不明のとき又は関係事業者が詳細調査及び浄化事業を行う経済的能力がないときが想定されるので、そのときは市長が代わって行う。ただし、汚染した者の所在が判明したとき等は、市長は後から要した経費を請求できる(第34条)。浄化する目標は、土壌・地層及び地下水について、水道水の水質基準を満足するレベルとして、汚染物質それぞれの含有量で規定している(条例施行規則別表)。
事業の円滑な推進を図るため、市の資金と関係事業者からの寄付金を財源とする地下水汚染対策基金を設置し、市長が行う調査、浄化事業、健康被害防止事業を行う経費に充てるほか、関係事業者が行う詳細調査又は浄化事業に対する助成に充てる(第36条-第41条)。当面、基金は10億円を目標としている。当初、義務的な協力金が構想されたが、新たな地方税になるとして、自治省の反対にあったため、任意の寄付金に変更されたといわれている。
以上のように、秦野市の条例は調査、浄化、基金の点を見ても画期的である。それは、
@詳細調査及び浄化事業を原則として汚染者(事業者及び処理者)の責務とし、それを遡及・連帯責任としたこと、
A汚染者やその所在が不明、経済的能力がない場合には市が浄化することとしたこと、
B水道水質基準をもとにした「浄化目標」値を浄化事業の発動及び達成基準としたこと、
C市の浄化事業の実施や事業者の浄化事業の助成のための基金を設けたこと、
である(75)。今後の地質汚染問題解決のための制度づくりに、1つのモデルとして極めて大きな意義をもつと考えられる。
まず、日本の実態を見てみよう。例えば千葉県水質保全研究所の楡井久氏は、千葉県におけるこうした5つの事例をあげている(76)。その5例を整理すれば、(1)汚染原因企業と土地所有者が同一であるけれども、汚染が所有地外に拡大している。(2)汚染地であることを知らないで土地を購入した土地所有者。(3)汚染原因者と土地所有者とが分離しており、さらに土地所有の移転があった。(4)汚染原因者と土地所有者が同一であったけれども、転売・倒産等により土地所有者が変わった。しかし土地所有者の関連性がみられる。(5)不法投棄等により汚染された場合の土地所有者の責任問題である。
この他の事例では、横浜市が工場の移転・廃止の際に事業者に対して土壌汚染対策を指導する「横浜市工場等跡地汚染対策指導要綱」(1986年)を定めており、その届出件数は134件(1997年3月)で、うち指導14件(主に金属汚染と有機塩素系溶剤)、調査中4件(汚染あり)である。土地所有者と事業者とが異なる場合は少なく、その際も土地所有者の協力が得られているという(横浜市環境保全局水質地盤課による)。
1993年に土壌汚染対策指導要綱を制定した川崎市は、要綱で事業者と土地所有者に対して、工場の移転・廃止・再開発等の「土地改変等の機会」に、土壌調査及び汚染土壌の処理対策を実施し、その結果を報告するよう定めている。川崎市においても、事業者と土地所有者が異なる問題は少なく、むしろこれまで土地所有の移転の際に土壌汚染の問題が発覚し、対策をとることが多かった(川崎市環境保全局公害部水質課による)。
また、不法投棄の場合の土地所有者の責任については、全国産業廃棄物連合会の「「不法投棄の実態と課題」アンケート調査結果」によれば、投棄行為者不明の場合、60.9%(実数39)の自治体が、「土地の所有者・管理者に現状回復を指導する」となっている(77)。同様に、全国の自治体から聞き取り調査した北村喜宣氏によれば、「実際には、行政指導によって土地所有者に処理が求められており、結果的に、土地所有者の「捨てられ損」となっている場合がほとんどである」という(78)。
大塚直氏によれば(79)、現行法では民法717条(「土地ノ工作物ノ設置又ハ保存ニ アルニ因リテ他人ニ損害ヲ生シタルトキハ其工作物ノ占有者ハ被害者ニ対シテ損害賠償ノ責ニ任ス」)および物権的請求権により、無過失の土地所有者にも損害賠償責任ないし妨害除去の費用負担が課せられている(この場合所有者から原因者への求償が認められている)。しかしこれは個別の「損害」ないし「妨害の危険」がある場合に限定される。よって、大塚氏にしたがえば、個別の「損害」ないし「妨害の危険」がないのに、寄与度が零である土地所有者に費用を負担させるのは、基本的には困難で、「土地所有者については、汚染者の不明・不在・無資力の場合にのみ、補充的責任を課する」とすべきであるという(80)。ただし、土地所有者に浄化費用を負担させれば、汚染防止のインセンティブは十分与えられるし、浄化のインセンティブも相当程度付与されることを大塚氏は認めている(81)。
私も基本的には大塚氏の所説に賛成で、汚染原因者に第一義的浄化責任を負わせることは、「汚染者負担の原則」にかない、かつ土地所有者に原因者の不明・不在・無資力の場合、補充的責任を求めることは、日本の実態と法制度に適合していると考える。土地所有者にも一部浄化責任を負わせることになれば、汚染防止と土地管理に対するインセンティブは高まり、土地売買に際しての土壌汚染調査が義務化されるのと同じようになり、土壌汚染の発見率も高くなるであろう。アメリカのスーパーファンド法をめぐる裁判の多発は、多分にアメリカの社会や法制度の特徴からくるものであり、土地所有者にも浄化責任を求めたことに起因すると必ずしもいえないと考える。
注
(1)宮本憲一『環境経済学』岩波書店、1989年、第4章第2節「PPPの理論と現実」参照。
(2)第64回国会『衆議院産業公害対策特別委員会議事録』第3号、1970年12月7日、19頁、山中貞則国務大臣の発言。
(3)厚生省公害防止費用研究会「公害防止事業に要する費用負担に関する研究(中間報告)」1970年9月1日。
(4)第64回国会『衆議院産業公害対策特別委員会議録』第3号、1970年12月7日、42頁、米原昶議員。
(5)公害対策本部編『公害防止事業費事業者負担法の解説』中央法規出版、1971年、54頁。(6) 中央法規出版、1972年、73頁。同様の記述は、環境庁水質保全局土壌農薬課『土壌汚染』白亜書房、1973年、92頁にもみられる。
(7)日本鉱業協会『鉱山』1974年9月号参照。
(8)「公害防止事業費事業者負担法の適用事例」『環境・公害関係資料集』ぎょうせい、1987年、660頁。
(9)利根川治夫他編『三井資本とイタイイタイ病』大月書店、1979年、第12章[利根川治夫・吉田文和執筆]266頁。
(10)『鉱山』1993年6月号、5-6頁。
イタイイタイ病に関する厚生省見解(カドミウム原因説)が1968年に出されて30年がたち、これを機に、「イタイイタイ病とカドミウム環境汚染対策に関する国際シンポジウム」が、5月13-16日に、富山市で開催された。
このシンポジウムで、この30年間の研究にもとづいて、富山県内外のカドミウム汚染の実態、長崎県対馬、石川県梯川、兵庫県生野のイタイイタイ病患者の病理解剖結果が明らかにされ、またイタイイタイ病にまでは至らないが、様々なカドミウム中毒、腎機能障害が広範に存在することが示された。スウェーデンやベルギーにおける環境カドミウム影響の研究成果も、これを裏付けている。さらに、これまで考えられてきたよりもはるかに低いレベルで、カドミウムによる健康影響がではじめることが諸外国の研究により明らかにされつつある。この点から、日本の米に関するカドミウム基準の緩さと、非汚染地の日本人の腎臓中のカドミウム含有量の高さが国内外から指摘された。このことは、カドミウム汚染が一地方の局地的な問題に止まらず、日本全体の課題であることを示している。
日本人の米食と、ごみ焼却率70%という他国にない特徴は、カドミウムとダイオキシン類の長期低濃度汚染に対する特別の研究と対策を要請している。
(11)利根川治夫「土壌復元事業をめぐる費用負担問題」『公害研究』第9巻第4号、1980年、39-48頁。
(12)本間慎「カドミウムの地域特性の問題点」『公害研究』第11巻第4号、1982年、60-67頁。
(13)『三井資本とイタイイタイ病』第4章[吉田文和・利根川治夫執筆]参照。
(14)畑 明郎『イタイイタイ病−発生源対策22年のあゆみ』実教出版、1994年。
(15)地球環境経済研究会『日本の公害経験』(合同出版、1991年、43-48頁)は「環境に配慮しない経済の不経済」として、神通川流域のカドミウムによる土壌汚染も事例にとりあげ、「対策費用の6億200万円(1989年度価格、年間)は、生じてしまった被害額の25億1800万円(同)をはるかに下回っている。こうした対策を早い段階で行い、被害を未然に防ぐことは、金銭面の費用効果だけから見ても十分合理的なことであったと言えよう」(48頁)とのべている。
私も、この報告書の全体の趣旨には賛成であるが、この部分の分析には幾つかの問題点を含むように思われる。
第1に、ここで使用されている対策費用の計算は、被害が発生した後の公害発生源対策の費用が使われており、そのままでは「対策を早い段階で行い、被害を未然に防ぐ」費用の計算には使用できないことである。
また、さきにのべたように、対策費用には、生産合理化投資も含まれていることを考慮する必要がある。
(16)現行の鉱山保安法と鉱業法の問題点については、吉田文和・利根川治夫「鉱害賠償規定の成立過程」北海道大学『経済学研究』第28巻第3号、1978年参照。
(17)第123回国会『衆議院商工委員会議録』第5号、1992年4月3日、8頁、鈴木英夫政府委員。
(18)なお、竹内憲司氏は、公共事業型の蓄積汚染対策において費用負担ルールが事後的な浄化効率性に与える影響について分析し、公害防止事業者事業費負担法の下での農用地土壌汚染対策の平均費用は、汚染者の費用負担割合が上昇するにしたがって低下しており、これは交渉費用等の取引費用の存在を想定したケース(この他、総費用を考慮するケースと政府の費用負担を重視するケースを想定)に相当していることが示唆されたと報告している(「土壌汚染浄化の費用負担と効率性」『明治大学短期大学紀要』第62号、1998年)。興味深い結果であるが、本節で指摘したように、1975年以降事業者の負担割合が低下して、その主原因は政府と産業界の政策にあり、その結果、交渉費用等の取引費用が問題となったのではないかと考えられる。さらに、汚染対策の費用は地域的・歴史的特性に依存する部分が多く、平均費用から問題の本質をとらえるには不十分ではないかと考える次第である。
(19)楡井久他「揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染をはじめとする地質汚染浄化の推進、その1」『季刊環境研究』95号、1994年、35-36頁。
(20)鈴木喜計「揮発性有機塩素化合物による地質汚染の機構解明と浄化の実際」日本地質学会環境地質研究委員会『シンポジウム・地質汚染』1993年、58頁。なお、「マルチコンパートメント汚染」とも呼ばれる。浦野紘平「揮発性有機化合物によるマルチコンパートメント汚染」『廃棄物学会誌』第6巻第1号、1995年、13-23頁。
(21)平田健正「土壌・地下水汚染の調査法」『環境と測定技術』第21巻第3号、1994年、32-43頁。
(22)川崎市『平成8年度水質年報』1997年。環境庁土壌農薬課によれば、1975-1996年度に都道府県が把握した土壌汚染事例の総数は782件で、このうち土壌中から何らかの重金属が検出された事例は375件である。その項目としては鉛、テトラクロロエチレンが多く、業種では金属製品製造業、洗濯、化学工業、電気機械器具製造業が多い。
(23)新潟県衛生公害研究所『有機塩素系溶剤の環境中における動態及び分解性に関する調査研究報告書』1988年。
(24)伊藤健二「小田原市内におけるトリクロロエチレンによる汚染について」『地下水汚染とその防止対策に関する研究集会第2回講演集』1992年、116-121頁。
(25)「企業に補償要求、錦町の地下水汚染で町長が表明」『西日本新聞』1991年6月1日付。
(26)習志野市『平成5年版習志野市環境白書』1993年、31-42頁。
(27)「工場の誘致計画は地下水汚染の恐れ、土地転売差し止め訴訟、福井県大野市」『中日新聞』1992年3月15日付。
(28)千葉市『平成5年版環境白書』183-194頁。
(29)「汚染源は日本鉱業工場」『神奈川新聞』1992年5月14日付。
(30)藤枝市『ふじえだの環境、平成5年版』90-96頁。
(31)富士宮市『富士宮市の公害、平成4年度版』72-82頁。
(32)国立公害研究所『第4回土壌・地下水汚染シンポジウム-現地観測例を中心に-』1989年、73-74頁。
(33)三木市『平成4年度版三木市の環境』28頁。
(34)横浜市『横浜環境白書、平成5年版』67-69頁。
(35)長野市『平成5年版環境白書』182頁。
(36)藤枝市『ふじえだの環境、平成5年版』90-96頁。
(37)御殿場市市民生活課「御殿場市杉名沢地区における地下水汚染の状況」1994年。
(38)小林鋭夫「トリクロロエチレン等による地下水汚染の回復策」『地下水汚染とその防止対策に関する研究集会第1回講演集』1991年、144頁。
(39)谷山稔・田瀬則雄「茨城県土浦市木田余・真鍋地区における有機塩素化合物による地下水汚染」『筑波大学水理実験センター報告』第14号、1990年、49-57頁。
(40)山口県『平成5年版環境白書』75-77頁。
(41)「キヤノン工場を処分」『下野新聞』1990年8月10日付。
(42)中馬教允「福島盆地南部の有機塩素系溶剤による地下水汚染について」『福島大学特定研究、自然と人間、研究報告』第3号、1992年、19-30頁。
(43)鈴木喜計他「久留里市場地区地質汚染現場における機構解明と浄化対策」『第3回環境地質学シンポジウム講演論文集』1993年、21-25頁。
(44)習志野市『平成5年版習志野市環境白書』1993年、31-42頁。
(45)「都留の地下水汚染、周辺別荘に拡大」『山梨日日新聞』1991年7月20日付。
(46)殿界和夫「高槻市における地下水汚染の特徴と地下水の再生」日本地質学会環境地質研究委員会『シンポジウム・地質汚染』1993年、97-108頁。
(47)「薬品会社社長、住民と初交渉 甘木市の地下水汚染」『西日本新聞』1991年2月8日付。
(48)柏市『環境白書、平成4年度版』60-82頁。
(49)吉岡昌徳他「アクリルニトリル流出事故に関する事故処理と環境汚染調査」『兵庫県公害研究所研究報告』第18号、1986年、113-117頁。
(50)「富士川町の化学工場周辺2か所の工業用井戸水から発がん性物質」『静岡新聞』1991年3月10日付。
(51)松戸市『平成5年版環境の現状と対策』95-107頁。
(52)吉川サナエ他「川崎市における地下水中の低沸点有機塩素化合物の調査結果(第2報)」『川崎市公害研究所年報』第19号、1993年、42-47頁。
(53)『平成元年度環境庁委託業務結果報告書 地下水質保全対策調査-事例調査解析-』1990年、8-39頁。
(54)信濃毎日新聞社編『水とともに』信濃毎日新聞社、1991年、31-33, 154-167頁。
(55)羽村市「旧廃棄物処分地跡地関係調査」『平成4年度業務報告書』163頁。
(56)『人間と環境』第23巻第3号、1997年参照。
(57)「産廃処分場が井戸水汚染?多古町の住民 操業停止の仮処分申請」『千葉日報』1992年11月28日付。
(58)平成3年度環境庁委託業務結果報告書、1992年、156-162頁。
(59)鞍田炎他「いわき市不法投棄事件」『いんだすと』第8巻第4号、1993年、8-13頁。
(60)柏市『環境白書、平成4年度版』60-82頁。
(61)「川西・一庫ダム上流 有害廃油を大量投棄」『神戸新聞』1993年1月13日付。
(62)「佐賀の産廃不法投棄事件、業者きょうにも書類送検」『西日本新聞』1993年9月6日付。
(63)"Statement of Hon.Richard Ray, A Representative from Georgia,Chairman,Environmental Restoration Panel",Hearings on National Defense Authorization Act for Fiscal Years 1992 and 1993-H.R.2100, before the Committee on Armed Services House of Representatives, 1992.[H201-7.27] p.1021.
(64)栗山町史編さん委員会編『栗山町史』第2巻、1991年、および北海道庁と栗山町に対する聞き取りに基づく。
(65)NHK「特報首都圏96・終わらぬ汚染処理-東京江東区の六価クロム-」1996年10月13日放映。この報道で日本化学工業総務部長によれば、79年協定には企業負担を「いくらを限度とする」旨が付属していたが、その後協定の限度額を超えたという。
(66)地下水を守る会『やさしい地下水の話』北斗出版、1993年、118-121頁。
(67)滋賀県『平成6年版環境白書』98頁。
(68)福井県『平成4年度公共用水域および地下水の水質の測定結果報告書』88-89頁。
(69)習志野市『平成5年版習志野市環境白書』1993年、31-42頁。千葉市『平成5年版環境白書』183-194頁。
(70) 栃木県『環境白書 平成6年度版』208頁。
(71) 神奈川県『平成5年度神奈川県地下水質測定結果』15頁。
(72)楡井久他「地下水汚染プリュームからみた1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン両物質からジクロロエチレン異性体への変遷」『第2回環境地質学シンポジウム講演論文集』 1992年、55-60頁。
(73)中馬教允「有機塩素系溶剤による地質環境汚染とその対策について-福島県を中心に-」(平成8年度-平成9年度科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書)1998年、10-11頁。安田八十五氏によれば、単位リスク削減費用を検討すると、地下水汚染物質曝気施設では小さく(1.3億円/人)、トリハロメタン除去施設では大きい(130-402億円/人)。安田八十五「水環境管理に関する公共政策の総合評価の研究」北海道大学博士(工学)論文、1998年、第7章参照。
(74)酒井豊他「千葉県の地下水汚染などの地質汚染調査制度」日本地質学会環境地質研究委員会『シンポジウム・誰がだすべきか?「地質汚染調査・対策費」を』1993年、57-76頁。同書は後に東海大学出版会から『地質汚染の責任』(1995年)として出版されている。
(75)大塚直「市街地土壌汚染浄化の費用負担(下)」『ジュリスト』第1040号、1994年、97頁。
(76)楡井久「地質汚染調査・対策現場の悩みから」日本地質学会環境地質研究委員会『シンポジウム・誰がだすべきか?「地質対策調査・対策費」を』1993年、11-13頁。
(77)「「不法投棄の実態と課題」アンケート調査結果」『いんだすと』第8巻第9号、1993年、22頁。
(78)北村喜宣「行政的対応の限界と司法的執行(2)」『自治研究』第69巻第8号、1993年、82頁。
(79)大塚直「市街地土壌汚染浄化の費用負担(下)」『ジュリスト』第1040号、1994年、100頁。
(80)大塚直「土壌汚染浄化の費用負担」『廃棄物学会誌』第5巻第5号、1994年、390頁。
(81)大塚直「市街地土壌汚染浄化の費用負担(下)」『ジュリスト』第1040号、1994年、101頁。